MarsLink Updates
大阪市のアクセラレーション「OSAP」第19期に採択 ── CabinTimeで移動空間AIの共同検証へ
大阪・うめきた(グラングリーン大阪)を拠点とするAIスタートアップ 株式会社MarsLink は、大阪市が推進するスタートアップ支援プログラム「OIH Startup Acceleration Program(OSAP)第19期」に、開発中のプロダクト「CabinTime(キャビンタイム)」が採択されたことをお知らせします。
これは、MarsLinkが取り組む「移動空間における情報・状況認識・意思決定をAIで支援する」という構想を、大阪・関西の現場で検証していくための一歩です。

OSAP / OIH とは ── 大阪のスタートアップ支援の中核
OIH(大阪イノベーションハブ) は、大阪市が世界に通用するスタートアップやイノベーションを生み出すために設けた、創業・成長支援の拠点です。その中核プログラムのひとつが、本格的な事業成長を目指すスタートアップを対象としたアクセラレーションプログラム「OSAP(OIH Startup Acceleration Program)」です。
アクセラレーションプログラムとは、選抜されたスタートアップに対して、メンタリング、事業仮説の磨き込み、専門家や先輩起業家とのネットワーク、投資家・事業会社との接点、そして成果を発表する場(DEMO DAY)などを、数か月間にわたって集中的に提供する仕組みです。補助金や場所の提供にとどまらず、「事業を加速させること」そのものを目的に設計されているのが特徴です。
大阪・関西は、近年スタートアップ・エコシステムの強化が国家的にも進められている地域です。その中で、大阪市が運営するOSAPに採択されることは、地域のスタートアップ支援基盤の中で事業を磨き、検証し、つないでいくことを意味します。
AIスタートアップにとってのOSAP採択の意義
AIプロダクトは、モデルの性能だけでは成立しません。誰が使うのか、どの情報を参照するのか、通信が弱い環境でどう動くのか、提案の根拠をどこまで説明できるのか。移動空間AIでは、技術設計と現場運用を同時に検証する必要があります。
OSAPへの採択は、MarsLinkが航空・船舶・交通・地域の事業者と対話し、CabinTimeの仮説を現場に近い形で磨くための機会になります。
特に重要なのは、次の3点です。
- 事業者・自治体との対話を通じて、共同検証に必要な課題を具体化すること
- 機内・船内・駅・地域接点など、通信環境と利用文脈が異なる場所でのUXを検討すること
- 大阪・関西の交通、観光、インバウンド、地域回遊の現場と接続すること
大阪・関西には、関西国際空港・伊丹空港、瀬戸内や日本海へつながるフェリー航路、稠密な鉄道網、京都・大阪・奈良・神戸の観光導線があります。移動AI・飛行機AI・船舶AI・地域AIを検証するうえで、複数の移動手段と目的地が重なる実装フィールドです。
CabinTimeとは ── 開発中の移動空間AIアシスタント
採択されたプロダクト「CabinTime」は、航空機・船舶などの移動空間向けに開発中のAIアシスタントです。
移動中、人は同時にいくつもの判断をしています。到着後にどこで食事をするか、どう移動するか、天気や混雑にどう備えるか、予定をどう変えるか。情報は検索・地図・SNS・口コミ・運行情報にバラバラに存在し、その人の状況に合わせて「判断できる形」に整える余地があります。CabinTimeは、この分断された情報をAIで束ね、移動中の意思決定を支援することを目指しています。
最大の特徴は、通信が弱い環境でも使える「エッジAI」設計です。機内・船内・離島・山間部など、クラウド前提のAIが届きにくい場所でも、ローカルで状況理解と提案を続けられるかを検証しています。詳しくはTechnologyで技術思想を紹介しています。
そしてCabinTimeでは、行く場所を薦めるだけでなく、「避けるべき選択」も理由つきで提示する体験を検証しています。接待にふさわしくない騒がしい店、雨で濡れる動線、混雑で時間を失う移動――行かなければ起きなかった失敗を、事前に減らすことを重視しています。最終的に決めるのは、つねに人です。
OSAPで検証すること
OSAPの期間を通じて、私たちは次のテーマを検証していきます。
- 移動空間で使いやすいAIアシスタント体験(限られた時間・通信制約の中でのUX)
- 航空・船舶・交通事業者、自治体、DMO、地域事業者との連携モデル
- 到着前の情報接触が、地域の回遊や消費に与える影響
- CabinTimeからJourney Intelligence Platformへの拡張可能性
CabinTimeは、会社の出発点です。ここで得た文脈理解・推薦・説明可能性の型を、移動の文脈・状況認識・意思決定を束ねる共通基盤へと育て、航空・船舶・鉄道・地域へ横断的に広げていきます。会社の本体は、この基盤にあります。
大阪・関西から、移動AIを実装する
MarsLinkは、大阪・関西を出発点に、移動空間AIの実装を進めます。
移動に関する意思決定は、空港や駅に着いてから始まるものではありません。機内・船内・列車内・長距離バス・ホテル・地域のポータルなど、移動と滞在の接点ごとに、必要な情報は変わります。天気、混雑、口コミ、運航・運行情報、目的、好み、避けたい体験を統合し、利用者が安心して次を選べる状態に整えることが、MarsLinkのテーマです。
代表の市位謙太は、大阪市会議員として8年、行政・地域・公共交通の意思決定を内側から経験しました。その後、地方創生マーケティングのFunMakeを率い、自治体・公共交通機関と連携してきました。MarsLinkは、その経験をもとに、AI研究者や事業者と協働しながら、移動空間における意思決定支援の実装を進めています。
移動空間のAIインフラへ
MarsLinkが目指しているのは、旅行会社や観光情報サイトではありません。移動の時間とデータを、AIによって判断できる状態へ変える、移動空間のAIインフラです。
人口減少が進む日本にとって、移動、インバウンド、地域回遊は重要な成長領域です。その現場に、通信が弱い環境でも使えるエッジAI、状況を束ねるデータ設計、推薦の根拠を説明するAssurance Layerを組み合わせ、人と組織の意思決定を支える。それがMarsLinkの構想です。事業構想の詳細は投資家向けページで紹介しています。
DEMO DAY、そしてこれから
OSAPは、その集大成として成果を発表する DEMO DAY を予定しています。私たちはこの場で、CabinTimeのピッチを通じて「移動時間を、判断できる体験に変える」という構想を発表します。
CabinTimeは現在、開発・共同検証フェーズです。一歩ずつ、現場の制約から設計し、実証パートナーとともに仮説を確かめていきます。航空・船舶・交通事業者、自治体、地域事業者の皆さまとの共同検証を募集しています。
大阪・関西から、世界の移動インフラへ。MarsLinkは、地に足のついた一歩を積み上げていきます。
関連リンク
- プロダクト:CabinTime ── 開発中の移動空間AIアシスタント
- 基盤:Journey Intelligence Platform
- 技術:Technology
- 会社情報:会社概要 / 事業構想:投資家向け
- お問い合わせ:共同検証のご相談はこちら